会社の目的

対象会社

この記事で扱う会社は、会社法で規定されている、株式会社、特例有限会社、合名会社、合資会社、合同会社を想定します。

会社の目的とは

会社を営む上で、株式会社などを設立して事業をするには、会社名その他、登記すべき必須項目を定めないと設立できないわけですが、その会社が何をする会社かを明示するのが、「会社目的」となります。

会社の目的に何を掲載するか

目的に掲載すべき事項

設立時

1 スタート時点で予定している事業
2 将来的にやりたい事業
3 目的の最後に「前各号に付帯関連する一切の事業」と追記する。

目的変更時

1 新たに加える事業
2 やらなかった事業で今後もやらない事業の削除

目的変更を登記するときは
従前の目的は全てなくして、全文登記し直しします。

具体的な目的の文言

具体的な目的の文言については「会社目的事例」というようなキーワードでウェブを検索すれば、各種データベースが見つかると思います。

目的作成時の注意点

事業をする前提として監督官庁の許認可が必要な場合。

建設業であるとか、飲食店、あるいは、古物商など
事業を開始する前に、役所の許認可を得る必要のある事業の場合、事前に文言の適正を確認しておくべきです。
例えば、介護事業などは目的記載の文言を個別記載で登記するよりも包括記載で登記しておいた方が、後々の柔軟性が増すので、あらかじめ、将来予定している事業であれば、事業目的に含めておくことがおススメです。
※包括的な記載を認めていない申請先(都道府県知事・市町村)もあるので、詳しくは各都道府県・市町村のサイトをご覧ください。

事業収益という観点と役員のコンプライアンス

会社は本来定款上の目的を事業対象にすることを義務付けられていると考えられます。

第34条(法人の能力)
法人は、法令の規定に従い、定款その他の基本約款で定められた目的の範囲内において、権利を有し、義務を負う。

と定められているので、本来、会社は定款に定めた目的以外の行為は許されていないと考えられますが、会社は利益追求が主たる目的なので、その商行為が目的外でも、公序良俗に反しないことであれば、特に違法という取扱いは受けない慣例となっています。

ただ、財務的には、本来の事業目的に沿っていない活動によって上げた収益は「事業外収益」にすることになりますが、この科目は会社の評価としては低く見積もられることとなります。

また、事業外の行為で、損害を出してしまった場合
株主から、役員が損害賠償を請求されたり、退任を要求される可能性も出てきます。

以下関連法令に記載した条文参照
(株主による取締役の行為の差止め)
第三百六十条
(会社財産を危うくする罪)
第九百六十三条

金融機関評価の観点

会社の目的を登記する場合、「営利性」「明確性」「違法性」という観点から登記官は判定しています。過去には上記に「具体性」という項目を加えていましたが、会社法の施工時に「類似商号」の禁止を緩やかに変更した一連の変更においてこの「具体性」を外しました(通達)。
また、残る3点のチェックもかなりゆるく変わっている実情があります。

さて、この情勢の変化を押さえ。
また、先に述べた目的外商行為のもたらす、財務上の評低下や、株主からの責任追及の観点から、例えば。

「商業全般」

というような目的を定めておけばいいのかなと思います。
このような規定は具体性をチェックしない現状に鑑みて
「営利性」は大丈夫、「違法性」もない、「明確性」も問題ない。と言えます。
事実このような目的も現状は登記されているようです。

なので、実際活動している事業と可能性のある事業とを目的に登記して、最後にこのような目的を加えておけば財務評価上、役員のコンプライアンス上も「完璧」だと思われますが、どうでしょうか。

金融機関融資基準

金融機関の融資においては以下のような情報があります。

日本政策金融公庫の融資を受ける際に書いてはいけない業種
  • 農業、林業、漁業
  • 金融・保険業(保険媒介代理業および保険サービス業を除く)
  • 不動産業のうち住宅及び住宅用の土地の賃貸業
  • 非営利団体
  • 一部の風俗営業
  • 公序良俗に反するもの
  • 投機的なもの
制度融資を受ける際に書いてはいけない業種
  • 農林、漁業
  • 遊興・娯楽業のうち風俗関連営業
  • 金融業

対金融機関対策上
本来予定していない事業であれば上記のような目的は避ける方が無難です。

あわせて言えば「商業全般」という規定を置くと上記のような業種と認定されないとも限りません。
また、やはり、「商業全般」というような目的を掲げた会社は第三者が見た場合、なにをするか分からない不気味さを覚える可能性もあるので、避けるのが賢明かと考えます。

株式会社の場合、定款変更に関する法律

株式会社の場合、【目的変更】は会社法上、【定款】変更となりますので、変更には会社法の規制を受けます。

定款とは

定款とは、会社を設立する時に必ず作成しなければならない、会社の規則集です。
会社設立時の定款は、発起人全員で作成しなければならず発起人の署名または記名捺印して公証人の認証を受ける必要があります。
この定款は、最初に作成したものを変更しながらずっと使い続けていきます。

株主総会での特別決議

定款を変更するためには、株主総会での特別決議が必要になります。
株主総会は、基本的に会社の決算後3か月以内に開催する定時株主総会と、必要に応じて開催する臨時株主総会があります。
定款の変更について、どちらの株主総会で特別決議を行うのかは、その緊急性などに応じて判断することになります。

特別決議とは、行使できる議決権の過半数を有する株主が出席し、出席株主の議決権の3分の2以上の賛成をもって可決となる決議のことを言います。

なお、株主総会での決議の方法として、普通決議というものもありますが、こちらは、議決権の過半数を有する株主が出席し、出席株主の議決権の過半数の賛成をもって可決となる決議です。

目的変更登記

申請期限

株主総会等、各法人の決定機関で決定した、「 商号変更日 」から2週間以内。
※ 以上のように法定されていますが、実際のところ期間を過ぎていても登記申請は受理されます。

申請要領

目的変更登記に追加、削除という方法はありません
登記申請書に記載した目的がもともとあった目的に全文入れ替えになります。

必要書類

登記申請書
印紙台紙(印紙)
株主総会議事録(株式会社の場合)( 注
株主リスト
別紙

注:各法人の決定機関によって異なります。例えば、合同会社の場合には社員総会となります。

登録免許税(収入印紙代)

3万円(収入印紙を貼る)

申請先

管轄法務局
本局、支局、出張所

作成を依頼できるサイトへ  >>>

関連法令

会社法

(商行為)

第五条  会社(外国会社を含む。次条第一項、第八条及び第九条において同じ。)がその事業としてする行為及びその事業のためにする行為は、商行為とする。

(定款の作成)
第二十六条  株式会社を設立するには、発起人が定款を作成し、その全員がこれに署名し、又は記名押印しなければならない。

(定款の記載又は記録事項)
第二十七条  株式会社の定款には、次に掲げる事項を記載し、又は記録しなければならない。
一  目的
二  商号
三  本店の所在地
四  設立に際して出資される財産の価額又はその最低額五  発起人の氏名又は名称及び住所

(定款の作成)
第五百七十五条  合名会社、合資会社又は合同会社(以下「持分会社」と総称する。)を設立するには、その社員になろうとする者が定款を作成し、その全員がこれに署名し、又は記名押印しなければならない。

(定款の記載又は記録事項)
第五百七十六条  持分会社の定款には、次に掲げる事項を記載し、又は記録しなければならない。
一  目的
二  商号
三  本店の所在地
四  社員の氏名又は名称及び住所
五  社員が無限責任社員又は有限責任社員のいずれであるかの別
六  社員の出資の目的(有限責任社員にあっては、金銭等に限る。)及びその価額又は評価の標準

(株主による取締役の行為の差止め)
第三百六十条  六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き株式を有する株主は、取締役が株式会社の目的の範囲外の行為その他法令若しくは定款に違反する行為をし、又はこれらの行為をするおそれがある場合において、当該行為によって当該株式会社に著しい損害が生ずるおそれがあるときは、当該取締役に対し、当該行為をやめることを請求することができる。
2 公開会社でない株式会社における前項の規定の適用については、同項中「六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き株式を有する株主」とあるのは、「株主」とする。
3 監査役設置会社又は委員会設置会社における第一項の規定の適用については、同項中「著しい損害」とあるのは、「回復することができない損害」とする。

(会社財産を危うくする罪)
第九百六十三条  
( 1項から5項省略 )
5  第九百六十条第一項第三号から第七号までに掲げる者が、次のいずれかに該当する場合にも、第一項と同様とする。
一  何人の名義をもってするかを問わず、株式会社の計算において不正にその株式を取得したとき。二  法令又は定款の規定に違反して、剰余金の配当をしたとき。
三  株式会社の目的の範囲外において、投機取引のために株式会社の財産を処分したとき。

商法

(絶対的商行為)
第五百一条 次に掲げる行為は、商行為とする。
一 利益を得て譲渡する意思をもってする動産、不動産若しくは有価証券の有償取得又はその取得したものの譲渡を目的とする行為
二 他人から取得する動産又は有価証券の供給契約及びその履行のためにする有償取得を目的とする行為
三 取引所においてする取引
四 手形その他の商業証券に関する行為
(営業的商行為)
第五百二条 次に掲げる行為は、営業としてするときは、商行為とする。ただし、専ら賃金を得る目的で物を製造し、又は労務に従事する者の行為は、この限りでない。
一 賃貸する意思をもってする動産若しくは不動産の有償取得若しくは賃借又はその取得し若しくは賃借したものの賃貸を目的とする行為
二 他人のためにする製造又は加工に関する行為
三 電気又はガスの供給に関する行為
四 運送に関する行為
五 作業又は労務の請負
六 出版、印刷又は撮影に関する行為
七 客の来集を目的とする場屋における取引
八 両替その他の銀行取引
九 保険
十 寄託の引受け
十一 仲立ち又は取次ぎに関する行為
十二 商行為の代理の引受け
十三 信託の引受け
(附属的商行為)
第五百三条 商人がその営業のためにする行為は、商行為とする。
2 商人の行為は、その営業のためにするものと推定する。

民法

第34条(法人の能力)
法人は、法令の規定に従い、定款その他の基本約款で定められた目的の範囲内において、権利を有し、義務を負う。

明確性・適法性・営利性について

法務局の実務的裁量

会社等の目的を作成するうえで、基準となっている「 明確性」「適法性」「営利性」については、根拠条文は明確には存在しません。

ただ、長い間法務局の実務において、この基準があり、その解説書が出版されています。そして、その解説書を法務局の登記官が所有して、敵、不適の判断をしてきました。疑義が生ずると本省に問い合わせをし、本省の通知する判断に基づいて登記官が適否を判断する積み重ねによって改定を重ねて、出来上がったものと思われます。

この判断は一種の裁量と思われます。
明らかにこの基準を超えているケースは拒否しますが、その運用は相当「ゆるく」している模様です。
なので、判断基準書籍で不適と掲載されているものでも、明らかな原則基準から外れている目的以外は拒否しないと思われます。

公証人による実務的裁量

また、株式会社の場合は定款認証を公証人がして、公証人が認めた目的が登記申請に添付できるというもう一つの流れがあります。
この公証人の判断に裁量がどの程度なされるかも実務的には影響されるところです。

裁量の根拠

裁量の具体的な判断に明確な法的根拠はありませんが、勿論、恣意的に判断されているわけではありません。

本来的に会社法第5条が目的の適正を判断する基準であると考えられます。

会社がその事業としてする行為及びその事業のためにする行為は、商行為とする
と会社法5条に規定されています。なので、会社目的は当然商行為を具体的に記載したものであるのは、当然です。
さらに、商法で「商行為」が定義されていますが、基本は「商売」行為です。なので、「営利」は当然ですし、「違法行為」が商売でないのは、当然となります。また、目的が何を指しているのか、「明確」でない場合、商行為なのかどうかを判断できないので、不適正なのも当然といえます。
違法性の中には、商行為として認定されている中でも、別の法律で専業とされている商行為は会社法としての目的としては違法性ありと判断されるのも当然です。

まとめ

目的を定めるときに留意すること。

現状計画している事業を掲載する
※ 掲載していない目的で損失などすると責任追及される恐れがあります。

今後やるかもしれない事業を掲載する
※ 金融機関などから本業で収益を上げているとみてもらうために、目的には考えられる目的は広く掲載しておくこと。

許認可が必要な事業を掲載するときは文言が適正か事前に確認すること

金融機関が融資を躊躇するような文言があるので、不用意に入れない。

目的変更登記

目的変更は定款変更なので、株主総会の特別決議が必要である。

変更登記は従前の目的をすべて、新規に書き換えれる方法で、追加・一部削除のみはできない。

関係法令

目的の性質をしっかり理解するために、関係法令も押さえる。

( 民法 )
第34条(法人の能力)
法人は、法令の規定に従い、定款その他の基本約款で定められた目的の範囲内において、権利を有し、義務を負う。

(商法 商行為)
第五条  会社(外国会社を含む。次条第一項、第八条及び第九条において同じ。)がその事業としてする行為及びその事業のためにする行為は、商行為とする。

会社の事業は商法上の商行為であるので、目的は「営利性」があること。また、商行為であるか否か明瞭にわかるように「明確性」が必要となる。また、商売に「違法性」がないことは当然のこととなる。

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